周波数領域積分 (インコヒーレント積分)
レーダの受信信号を直交検波して得られる複素時系列信号は、散乱体の見かけの速さに比例して位相が回転します。この複素時系列信号をフーリエ変換して、散乱体の移動速度ごとの受信電力の分布を表すドップラスペクトルを求めます。横軸はドップラ速度といい、中央の細いピークは周囲の山などの静止している散乱体からはねかえってきた信号で、右側の幅の太いピークが大気乱流に散乱された信号成分を示します。
このドップラスペクトルは元々は雑音が多く、大気乱流成分は雑音に埋もれがちですが、複数のドップラスペクトルを加算するインコヒーレント積分操作によって、信号対雑音比(SNR)を改善します。ni回の積分の結果、信号の電力はni倍となり、一方白色雑音の電力はni1/2(ルートni)倍となるため、SNRはni1/2(ルートni)倍となります。
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